ポケットの恋
「ぅわっ!」
頭を抱えて大袈裟に痛がってみせる。
「ありゃりゃー…秋田凶暴…」
「誰のせいだと思ってんのよ!」
「昔も…いつもあんな…?」 南部は驚いたように呟いた。
はい!と幸日が頷く。
「ね?仲良しでしょ?」
向けられた満開の笑顔にとりあえず頷くしかない。
秋田さんは明らかに嫌そうだけど…ふと思う。
古谷はどうなんだろう。
正直古谷があそこまで女の子に絡むのは見たことない気がする。
後で聞くかと、とりあえず今は頭の隅に片付けた。
「なーんか、先輩を差し置いて皆楽しそうなんだけどー」
突然肩にあげをのせられた、次田だ。
「…いたんですか。次田先輩」
次田は南部を無視して、幸日に向き直った。
「こんにちはー幸日ちゃん」
突然声をかけられて、幸日はびくっと首を竦めた。
次田は見た目が派手なのだから当然だ。
「次田先輩…怖がられてますよ」
「うるさいよ?南部君。」
幸日から目を反らさず冷たく言い放つ。
「幸日ちゃん、アド交換してくんない?ていうか付き合って?」
返事をしたのは意外な人物だった。
「駄目です」
「まみちゃ…」
いつのまに古谷を引きはがしたのか次田と幸日の間に割って入る。
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