ポケットの恋
「あたしの…勘違いかもしれないし…大袈裟だよ…」
「幸日あんたねぇ!」
不意に南部が真実の肩に手を置いた。
真実の言葉が止まる。
「幸日ちゃん、勘違いな訳無いって、自分が1番知ってるだろ?」幸日の肩がびくりと跳ねた。
「幸日ちゃん優しいから、多分俺達に心配かけたくないんだろうけど」
そうして今度は南部の手の平が幸日の頭に載せられた。
軽く撫でられた途端、嘘みたいに鼓動がうるさくなる。
「心配させてもらえない方が傷つくよ。俺そこまで信頼されてないのかなって。心配位させて?」
もう限界だった。
涙がまぶたを乗り越えていく。
頭を撫でていた南部が幸日の顔を覗き込んで目を見張った。
慌てて手を離す。
「ごっ…ごめん、嫌だった?」
慌てたように問い掛けてくる南部にふるふると首を振る。
乱暴に目を擦った時に視界にしたり顔の古谷が写った。
同時にさっきの古谷の言葉を思い出して一気に頬が熱くなる。
真っ赤な顔で古谷を見ていると、ニヤリと笑われて、幸日は慌てて膨れて目を反らした。
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