ポケットの恋
「とーにーかーく!」
黙っていた真実が大声を張り上げた。
「幸日はもう一人で出歩いちゃだめ!何があっても、必ず私に連絡入れて。一緒に行くから」
「えぇ!?悪いよ!」
「いいの!何かあってからじゃ遅いんだから」
まって、と南部が真実を止めた。
「女の子同士じゃ危ないと思う。俺と古谷が付き合うよ」
南部が言った言葉は正論だ。
だが、正論だからこそ、真実は目をつり上らせた。
「あたしじゃ幸日を守れないって言いたいんですか!?」
「いや、そうじゃなくて…」
「秋田も危なくなるでしょ」
と、古谷が横から口をはさんだ。「ストーカーが秋田にキレたらどうするの。今度は秋田が襲われるかもしんないだろ。俺や南部なら平気でも、秋田はそうなったらどうするの」
「ある訳無いでしょそんなこと」真実が硬い声を返す。
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