ポケットの恋
「相手は幸日のこと調べ尽くしてるはずなんだから、あたしのことだって知ってるはずでしょ。それで今まで動いてこなかったんだからあたしには興味ないに決まってるじゃない」
一気に言い切ると、南部の方に向き直った。
「だから大丈夫です。あたしと南部さんと、それから古谷と三人で交代で幸日の大学の行き帰りとか外出につくようにすればいいですよね?」
「…でも」
南部が喋ろうとした時、不意に古谷がそれを遮った。
無言で真実の腕をとると自分の方に向かせる。
「何…」
真実の反駁の声は、古谷の顔を見て急速に萎んだ。
< 199 / 341 >

この作品をシェア

pagetop