ポケットの恋
19
「おはよう」
こんな時間に誰だろうと扉を開けて、その姿を見て昨日の話を思い出した。
「おはよう…ございます」
慌てて頭を下げる。
「ん」
南部が柔らかく笑った。
もうしっかり準備しておいてよかった。
南部の笑顔を見て、反射でそう思う。
うっかりでも寝起きの顔なんて見せたくない。
「準備できてる?待った方がいい?」
南部に尋ねられて、慌てて幸日は何度も頷いた。
「大丈夫ですっ!荷物持って来るから待ってて下さい」
南部が頷いたのを見て、急いで荷物を取りに戻りながら、幸日の心臓はバクバクだった。
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