ポケットの恋

「な、なに？」
「やっぱ南部さんっていい人。普通自分が不利になるようなこと言いませんよね」
幸日が惚れるのもわかる。
南部と同じように付け足された言葉に、南部は喉をつまらせた。
「いや！俺は幸日ちゃんのこと好きだけども、幸日ちゃんは…」
「その辺はともかくとして、あたしは南部さんと幸日の仲大賛成ですから！幸日ホントに鈍子ちゃんだけど、気長に待ってやってください！あたし応援しますし！」
真実の勢いに気圧されて、南部は喉の奥で笑った。
「秋田さんが見方なら力強いね。取りあえず、俺はこうやって幸日ちゃんのこと好き宣言してるから、ストーカーとは違う立場だと思ってくれると嬉しい」
「当たり前です！あたしストーカーと幸日の恋応援するようななまはげじゃありません！」
「あ…秋田繋がり？」
「ちっ…違います！」
噛み付くように怒鳴った真実に、思わず南部は笑い声をたてた。