ポケットの恋
「朝のバイトってここだったんだ。結構家近くなのに朝あんまり来ないから気付かなかった」
「そうですか…南部さんは?昼食とかですか?」
「いや、シャーペンのしん。きれてたから」
「あぁ…そうなんですか」
コンビニに来るからには理由があるのは当然で、来た理由を聞いたのは居心地の悪さからだ。
南部も同じだったようで、軽く会釈すると文房具のコーナーへ歩いて行った。
それじゃあ今日の送り迎えは古谷なのかとぼんやり思った時、また自動ドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
声を上げて、入って来た客を見る。
目のメイクがきついが、結構な美人だ。
彼女の眉が真実と目が合った瞬間、吊り上がったように見えた。
見覚えの無い女性だ。
気のせいだと得心して、手元に目を移す。
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