ポケットの恋
南部を見つめる二人の目は見たことが無い程陰険だった。
「は …ちょっ…そういうんじゃないじゃないですか!つか、なんであんたがそれを知ってる!」
「俺の耳は地獄耳だよ?そんなことより、そういうんじゃないんじゃ幸日ちゃんのアドちょーだい?」
南部が言い返すと次田はさらっと言ってのけた。
「…なんで急にそうなるんですか…だからそれは本人の了承が無いと…」
しどろもどろになった南部に古谷が言う。
「じゃあ今電話して戸田に了承得てよ。そんでOKもらったら教えてくれればよくない?」
「さっすが古谷くーん!いい考え!」
「え…」
南部の顔が露骨に嫌そうになった。
「ってゆうか、もはやアレ?お礼は、俺らにアド教えるっつーことでいいじゃん」
よくねぇ!という絶叫は喉まででかかった。
この二人のタッグは何を仕出かすかわからなくて怖い。
「あんな、俺へのお礼なんだよ。わかるか?」
そもそも、と南部はつけたす。
「俺は、連絡先交換した次の日に電話してきて、しかも友達にアドレス教えてもいいか、なんて言ってくるような軽薄な男だと思われたくない」
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