ポケットの恋
「本当ごめん。俺のせいなんだ。由利のやつ、俺が秋田に絡んでるのが気に食わなかったみたいで…。でももう絶対あいつが秋田に関わらないようにしてきたから。だからもう由利のことは、」
「いい加減にしてよ」
古谷が必死に話すのを、真実は冷たい声で遮った。
「あの人のことはほんとにどうでもいい。あの人はただあんたが好きなだけなんだから」
険しい表情で吐き捨てる真実に、古谷が小さく眉を寄せる。
「でも…」
「ほんとにあんたのせいよ」
苦い言葉に、古谷が息を飲むのが聞こえた。
「あんたがこういう風に誰にでも馴れ馴れしくするから色々めんどくさいことになるのよ」
―やばい。どうして。泣きそうだ―…
唇を強く噛んで必死に堪える。
< 283 / 341 >

この作品をシェア

pagetop