ポケットの恋
「でも…」
それでも真実は不満そうで、うろたえたようにキョロキョロした。「だいじょーぶだから!メールほんとに減ってるもん。それにわざわざ来るの、南部さんも大変だろうし」
南部に特別な用事があったとしたら邪魔をするのだけは避けたい。
とっくに授業は終わっているはずの時間で電話に出ないのは、なにか理由があるに違いないのだ。
「じゃあ、わるいけど」
古谷が渋々と言った様子で頷く。
「うん。平気」
「南部には留守電入れておくから。途中で行き会うかもしんない」
「わかった」
心配かけたくない一心で、大きめの笑顔を作った。
病院を後にする前に一度だけ、真実の方を盗み見る。
真実は心配そうに眉をよせていた。
あたしにくれた優しさは、真実ちゃんのために使ってね。
そう心の中で呟いて、幸日は今度こそ病院を出た。
それでも真実は不満そうで、うろたえたようにキョロキョロした。「だいじょーぶだから!メールほんとに減ってるもん。それにわざわざ来るの、南部さんも大変だろうし」
南部に特別な用事があったとしたら邪魔をするのだけは避けたい。
とっくに授業は終わっているはずの時間で電話に出ないのは、なにか理由があるに違いないのだ。
「じゃあ、わるいけど」
古谷が渋々と言った様子で頷く。
「うん。平気」
「南部には留守電入れておくから。途中で行き会うかもしんない」
「わかった」
心配かけたくない一心で、大きめの笑顔を作った。
病院を後にする前に一度だけ、真実の方を盗み見る。
真実は心配そうに眉をよせていた。
あたしにくれた優しさは、真実ちゃんのために使ってね。
そう心の中で呟いて、幸日は今度こそ病院を出た。