ポケットの恋
24
「古谷…?」
南部が古谷からの着信履歴に気がついたのは、大学を出て、家に帰ってからだった。
昨夜充電をし忘れたからか、午後にはくたびれた電池パックが根をあげて、電源が入らなくなっていた。
なにかあったか?と留守番の伝言を再生してすぐ、南部は部屋を飛び出した。
玄関には鍵もかけていない。
――秋田のお母さんのことで蓮池病院に戸田と二人できた。戸田だけ先に一人で帰ったから、出来たら途中で落ち合うように迎えに来てやってくれ。途中からでも南部が一緒の方が安全だから。
「――馬鹿野郎…!」
伝言の内容を思い出して、南部は悪態をついた。
もっと伝える事があるはずだ。いつ出たとか、どの道を通って帰るとか。
だいたい、いつも無理めに見える笑顔を簡単に信用しすぎだ。
あの子はたいがい強がって見せてる。
後を追うように嫌な思考が流れてきては消えていく。
憶測でしか、幸日の通っていく道はわからない。
自分の見当が当たっていることを祈って、南部はひたすら走った。
南部が古谷からの着信履歴に気がついたのは、大学を出て、家に帰ってからだった。
昨夜充電をし忘れたからか、午後にはくたびれた電池パックが根をあげて、電源が入らなくなっていた。
なにかあったか?と留守番の伝言を再生してすぐ、南部は部屋を飛び出した。
玄関には鍵もかけていない。
――秋田のお母さんのことで蓮池病院に戸田と二人できた。戸田だけ先に一人で帰ったから、出来たら途中で落ち合うように迎えに来てやってくれ。途中からでも南部が一緒の方が安全だから。
「――馬鹿野郎…!」
伝言の内容を思い出して、南部は悪態をついた。
もっと伝える事があるはずだ。いつ出たとか、どの道を通って帰るとか。
だいたい、いつも無理めに見える笑顔を簡単に信用しすぎだ。
あの子はたいがい強がって見せてる。
後を追うように嫌な思考が流れてきては消えていく。
憶測でしか、幸日の通っていく道はわからない。
自分の見当が当たっていることを祈って、南部はひたすら走った。