ポケットの恋
小さな声で、幸日がありがとうございますとつぶやく。
「とりあえず、ここは離れよう。暗いし、座るところもないし」
それに、いつまでもいては幸日が怖がるだろう。
幸日はほっとしたように、こくりと頷いた。
「あたしが、悪いって思った方がいいんでしょうか…」
歩きながら、幸日がぼそりと呟いた。
「雅也君、あたしに怒ってた。それってやっぱり、あたしがいけないのかな」
南部が驚いて幸日を見つめても、幸日は顔を上げない。
「あたし、多分逃げてたの。雅也くんに、ちゃんと言えなかったの。友達でいたいって。雅也くんにしてみたら、嫌ですよね、怒りますよね。ひとの気持ち馬鹿にしてって」
「幸日ちゃん、」
「分かってます。あたしはあたしの心配してればいいんです」
幸日はぴしゃりと南部の言葉を遮った。
「だけど、あたし勝手に被害者面してていいのかな。だってわかんないじゃない。あたしが雅也君を傷つけてたんなら、あたしだけが悲しんでいいのかなんて」
幸日の声は自虐的に響いた。
「とりあえず、ここは離れよう。暗いし、座るところもないし」
それに、いつまでもいては幸日が怖がるだろう。
幸日はほっとしたように、こくりと頷いた。
「あたしが、悪いって思った方がいいんでしょうか…」
歩きながら、幸日がぼそりと呟いた。
「雅也君、あたしに怒ってた。それってやっぱり、あたしがいけないのかな」
南部が驚いて幸日を見つめても、幸日は顔を上げない。
「あたし、多分逃げてたの。雅也くんに、ちゃんと言えなかったの。友達でいたいって。雅也くんにしてみたら、嫌ですよね、怒りますよね。ひとの気持ち馬鹿にしてって」
「幸日ちゃん、」
「分かってます。あたしはあたしの心配してればいいんです」
幸日はぴしゃりと南部の言葉を遮った。
「だけど、あたし勝手に被害者面してていいのかな。だってわかんないじゃない。あたしが雅也君を傷つけてたんなら、あたしだけが悲しんでいいのかなんて」
幸日の声は自虐的に響いた。