ポケットの恋
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"秋田真実"
そう打ち込んで、登録した。
五十音順の並びの中で、1番に表示される。
なんのことも無い筈のその事実に、古谷は小さく笑った。
青柳とか赤羽とか、そんな知り合いがいなかっただけで妙に嬉しくなるなんてな。
ずいぶんピンク色の脳みそだ。
気持ちのいい自嘲をしながら、古谷はベッドに仰向けに寝転がった。
目を閉じると、病院での真実の泣き顔が思い出される。
お互いにしこりを残して、壁を作っているくせに、見る人が見ればむしろなかむつまじいような絡み方をしてきたのも、小学生のあの時のことに触れるのを避けてきたからだ。
まるで忘れたように、それでいて時々邪魔をされる関係も、きっと今日で終わった。
あの涙は、どれだけ真実をすくっただろうか。
今度こそ、俺があの子を守る。
もう子供に見えなくて困るのなら、男として。
「くさいな…」
やっぱりこういう青春くさいことは俺より南部だな、と古谷はまた小さく笑った。
南部に矛先が向いたのは、どうにも恥ずかしくてたまらないのをまぎらわすためだった。
"秋田真実"
そう打ち込んで、登録した。
五十音順の並びの中で、1番に表示される。
なんのことも無い筈のその事実に、古谷は小さく笑った。
青柳とか赤羽とか、そんな知り合いがいなかっただけで妙に嬉しくなるなんてな。
ずいぶんピンク色の脳みそだ。
気持ちのいい自嘲をしながら、古谷はベッドに仰向けに寝転がった。
目を閉じると、病院での真実の泣き顔が思い出される。
お互いにしこりを残して、壁を作っているくせに、見る人が見ればむしろなかむつまじいような絡み方をしてきたのも、小学生のあの時のことに触れるのを避けてきたからだ。
まるで忘れたように、それでいて時々邪魔をされる関係も、きっと今日で終わった。
あの涙は、どれだけ真実をすくっただろうか。
今度こそ、俺があの子を守る。
もう子供に見えなくて困るのなら、男として。
「くさいな…」
やっぱりこういう青春くさいことは俺より南部だな、と古谷はまた小さく笑った。
南部に矛先が向いたのは、どうにも恥ずかしくてたまらないのをまぎらわすためだった。