ポケットの恋
最終章

「幸日大丈夫だった?!ごめん!!」

翌日、幸日と南部が警察で事情聴取を受けた帰り道。
幸日は真実からの半ば怒鳴り声の電話を受けて、南部と一緒に明日美のカフェに来ていた。
真実は事件について古谷から概要を聞いたらしい。
大声を上げて幸日に飛びついて来た時は半泣きだった。
「まっ…真実ちゃん…だいじょぶだよ!!」
幸日が息苦しくなって背中を叩くと真実は渋々といった体で、幸日を解放した。
「…それで、ストーカーの犯人…」
真実にそう言われて、幸日はまだ原田について話していないことに気がついた。
「あぁー…」
真実はきっと怒るだろうな。
そう思って、無意識に南部を見上げた。
南部は頷くと、幸日の言葉を引き継いで慎重に話はじめる。
南部の話が終わるまで黙りこくっていた真実が、終わったとたんそれこそ鬼の形相でぶちギレた。
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