ポケットの恋


お礼の内容を迷い続けて、カラオケ事件から約2週間が経った。
相変わらず、その内容は決まっていない。
なんだかんだ言って、相談相手は古谷がいいのだろが、既に事件の熱も冷めた中で、その話題を引っ張り出すのも躊躇われた。
「あー……あー…」
もう完全泥沼浸かりきった。
いい加減連絡しないと忘れられるだろう。
「南部、何やってんの」
突然声をかけられた。
バイト先のカウンター席だったのをすっかり忘れていた。
声の主は古谷だ。
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