ポケットの恋

「違うよっ真実ちゃんのせいとかじゃないから！っていうかたいしたことされてないから！服破かれただけっていうかっ」
「幸日、だけとか言わない」
南部にきつめの口調でつぶやかれて、幸日は慌てて言葉を繋いだ。「とっ…とにかくっ、そのせいとか、全然関係ない話だし、それに、真実ちゃんのお母さんが大丈夫ならよかった」
小さいころは散々世話になっている。笑って見せると真実は複雑な顔でふて腐れた。
「…幸日はそういういい子ちゃん発言しない！遠慮と強がりが事件引き起こしたようなもんよ！」
「なっ…！なにそれひどい！確かに逆に迷惑かけたかもだけど、そんな風に言うことないじゃん！」「幸日はかわいい子かわいい子して守ってもらえばいいのー！」
「は!?意味わかんないし！馬鹿にしてるでしょそれ！」
「はーい、二人ともちょっと黙ろうか」
ヒートアップしてきた二人を古谷が止めた。
まだ席にも座っていなかった二人を座るように促す。
幸日と真実は気まずい顔をして向かい合った席に座った。