ポケットの恋
「でも…」
「いいんだよ、全然。秋田がそう思ってるなら、俺は秋田を守るお兄ちゃんで。例えばさ、ポケットの中に入ってたお釣りみたいな、時々思い出して幸せになれるような恋心で、俺はいい」
妙に悟ったような古谷に、南部は苦笑して頷いた。
「じゃあ、俺はポケットの恋だな。そういう暖かくて優しい恋愛を…」
言いながら恥ずかしくなって目を反らす。
案の定、古谷は吹き出すのを懸命に堪えた顔をしていた。
「南部…くさすぎ!なにそれ!プロポーズ後のリーマンかよ!」
「うるせーな!いいだろ!ポケットの恋とポケットのコインで語呂が良くて!」
「いやっ!それもはや親父ギャグの域だから。それに俺、ポケットのお釣りって言ったし」
耐え切れなくなったように、古谷がテーブルに突っ伏す。
南部は恥ずかしさでビールを煽ったが、寝ている二人を起こさないように、こそこそと怒鳴りあうのは、妙に心地がよかった。
――fin.
「いいんだよ、全然。秋田がそう思ってるなら、俺は秋田を守るお兄ちゃんで。例えばさ、ポケットの中に入ってたお釣りみたいな、時々思い出して幸せになれるような恋心で、俺はいい」
妙に悟ったような古谷に、南部は苦笑して頷いた。
「じゃあ、俺はポケットの恋だな。そういう暖かくて優しい恋愛を…」
言いながら恥ずかしくなって目を反らす。
案の定、古谷は吹き出すのを懸命に堪えた顔をしていた。
「南部…くさすぎ!なにそれ!プロポーズ後のリーマンかよ!」
「うるせーな!いいだろ!ポケットの恋とポケットのコインで語呂が良くて!」
「いやっ!それもはや親父ギャグの域だから。それに俺、ポケットのお釣りって言ったし」
耐え切れなくなったように、古谷がテーブルに突っ伏す。
南部は恥ずかしさでビールを煽ったが、寝ている二人を起こさないように、こそこそと怒鳴りあうのは、妙に心地がよかった。
――fin.