ポケットの恋
「うわー!気持ちいい!!」
午前中のせいか、確かに空気は程よい温度だ。
「そりゃ…」
話しだした真実は急にどもった。
「…どうしたの」
予想外の反応に古谷は動きを止める。
ぶらんこに座っている真実を、振り返って見下ろした。
「うまくいけばいいと…思ってるけどね」
小さく早口で言った言葉は、けれどしっかり古谷の耳に届いてしまった。
「なぁんだあ!」
古谷は妙に嬉しそうな声をあげる。そのまま身軽にジャングルジムを降りた。
「真実ちゃん、あの二人に反対じゃないわけね!?」
そう言って真実の横のぶらんこに座る。
「秋田!!」
律儀に呼び方を訂正しつつも、真実は頷いた。
「へー。それは俺としても嬉しいなぁ。秋仁もう戸田にぞっこんだから」
古谷は嬉しそうに目を細める。
「でもさー秋田。次田先輩には厳しかったじゃん。何で秋仁はいいの?」
真美は軽くぶらんこを揺らしながら、
「幸日が…多分好きだから」と呟いた。
それを聞いて、古谷が身を乗り出しす。
「やっぱ戸田も好きなの!?」
「知らん!!それは聞いてない。嫌な気はしないって言ってただけ!」
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