ポケットの恋
「そういうことー」
そう言いながら、古谷はもう2枚チケットを取り出した。
真実の持っているのが2枚、古谷のが2枚で、合わせて4枚になる。
「俺は秋仁に渡しとくから。秋田は戸田にね」
「わかった…」
真実は貰ったチケットを、財布に入れながら、ふと口を開いた。
「ねぇ、南部さん熱大丈夫なの?多分幸日今それが一番知りたいと思うんだけど」
「あぁ。熱はもう下がったよ。戸田特製お粥もちゃんと完食してたし。つーか、熱よりショックが強いって感じ?」
「そっか…じゃあそれも伝えとかないと…」
真実はそう言った後、まぁ会ってもらえるかわからないけど、と苦笑しながら付け加えた。
「だーいじょうぶでしょ」
古谷が道の石を蹴る。
「なんの根拠があってよ」
真実は呆れたように返した。
「だって、戸田と秋田仲良しでしょ?」
古谷のその答えに、真実は肩を落とす。
「そんな小学生でも言えるようなことよくもしゃあしゃあと…」
「でも仲良しでしょー?戸田だってずっと秋田に会わないでいられる訳ないんだからさ?」
だったらいいけど、と真実は呟いた。
不意に古谷の携帯が鳴る。
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