ポケットの恋
古谷が弁明してくると思っていた女はそこで詰まる。
「じゃ…じゃあ別れる!!」
少しの間の後盛り上がった声で叫んだ。
「わかった。バイバイ。」
古谷は、返事も聞かずに携帯を切った。
そして電話帳を開く。
目当ての名前はさっきの女だ。
迷わず削除ボタンに指をかけた。
押す前に、着信の画面に遮られて、古谷は小さく舌打ちをした。
表示されている名前は、今消そうと思っていた、まさにその名前で。
切ってしまおうかとも考えたが、後腐れは避けたい。
電話に出た声は、確実にイライラしていたと思う。
「何?」
明らか、古谷の声の調子が悪かったからだろう。
電話の向こうで、怯えた気配が感じられた。
「よ…良行!!」
「別れるんでしょ?」
「だっ…それは良行が…」
「秋田と仲良くしたから何?」
「だって…浮気じゃん!」
彼女は金切り声をあげる。こんな女のどこがよくて付き合ってたんだ。
…別に最初から気持ちなんてなかったか。
「だったら何」
「サイテー!!」
自分で掛けてきた電話を、自分で切った。
電話でよかったと思う。
ああいう女は確実に平手打ちで逃げる被害者面パターンが大好きだ。
「…秋田に何か無いといいけど」
今心配なのはそれだけだった。
古谷は予定通り女のアドレスを消すと、駅に向かって歩き出した。
「じゃ…じゃあ別れる!!」
少しの間の後盛り上がった声で叫んだ。
「わかった。バイバイ。」
古谷は、返事も聞かずに携帯を切った。
そして電話帳を開く。
目当ての名前はさっきの女だ。
迷わず削除ボタンに指をかけた。
押す前に、着信の画面に遮られて、古谷は小さく舌打ちをした。
表示されている名前は、今消そうと思っていた、まさにその名前で。
切ってしまおうかとも考えたが、後腐れは避けたい。
電話に出た声は、確実にイライラしていたと思う。
「何?」
明らか、古谷の声の調子が悪かったからだろう。
電話の向こうで、怯えた気配が感じられた。
「よ…良行!!」
「別れるんでしょ?」
「だっ…それは良行が…」
「秋田と仲良くしたから何?」
「だって…浮気じゃん!」
彼女は金切り声をあげる。こんな女のどこがよくて付き合ってたんだ。
…別に最初から気持ちなんてなかったか。
「だったら何」
「サイテー!!」
自分で掛けてきた電話を、自分で切った。
電話でよかったと思う。
ああいう女は確実に平手打ちで逃げる被害者面パターンが大好きだ。
「…秋田に何か無いといいけど」
今心配なのはそれだけだった。
古谷は予定通り女のアドレスを消すと、駅に向かって歩き出した。