ポケットの恋
しかもこれで南部さんが遠回しに振られたって勘違いしたら?
やばい…
真実はぐしゃぐしゃになった思考をああもう!と怒鳴ることで振り払った。
「とりあえずそんなんだから!あたしの意見は!後は自分で考えなさい!!」
その一言で幸日の表情が心細げに曇る。
「なに!その顔は!いーい?南部さんのこと好きなのは幸日で、南部さんが好きなのも幸日なの」
「う…だからそれはぁ…」
「はいオッケー!話終了。遊園地行くまでにメール返しとくこと!絶対ね」
真実は、幸日が困ったように反論するのをさえぎって立ち上がった。
「真実ちゃん…帰るの?」
「帰るよー。明日は大学来なさいよ。いくらなんでも遅れるし」
「わかった…いい加減行かなきゃって思ってた」
「よし!んじゃ。メール、なんて送ったのー?とか野暮なことは聞かないから、バーンとね」
「了解です…」
幸日が敬礼の真似をしたところで、真実は玄関口に向かった。
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