クリスマス大・戦争!!
「思いのままに…… ゆりあさんの言葉で言ってみて下さい」


黒いコートに身を包んだ彼。
コートに手を入れている彼。


そんな彼が頭に浮かんできた。


……… なんだか、言えそうな気がします。



「――― あなたが、好きですわ」


わたくしの名前なんて知らない彼に『好き』だなんて伝えることは無謀な挑戦。


そんなこと…… 他の人が思いそうな事、わたくしだってそう思いましたわ。


でも、ダメだったんです。


彼に、どうしてもこの言葉を届けたかったの。




「……… 松岡、今のはどうでしたか?」


そう尋ねると、松岡がわたくしの目線にヒザを折った。


「大変、ゆりあさんの気持ちが伝わりました。
明日もこの調子で頑張りましょう」


「はい!」



たった一つのこの想い。


どうか彼…… イツキ様に届きますように。






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