蛮暴武隷奴
一瞬だけ、頭目は問答無用の厳しい眼を見せた。どうやら、本当にのっぴきならない事情があるようだ。
俺は竹細工の手を止めて、土間から頭目の正面へ座を移した。
「事情とやらをうかがおうじゃないですか」
「殊勝じゃねえかバカヤロー。ならよ、まずは殊勝ついでに吐いてもらおうか。この二年、都じゃもっばらの噂なんだがよ、羅城門で夜な夜な化物をいじめてるバカヤローがいるそうじゃねえか」
「おうふ」
「「おうふ」じゃねえよバカヤロー。ありゃテメーだろうが」
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