蛮暴武隷奴
「カマシも済んだところで、そろそろ聞かせちゃもらえませんか。俺は何をさせられるんで?」
「おう、覚悟完了じゃねえかバカヤロー。上等だよコラ。聞いて腰抜かすんじゃねえぞ」
「事情を聞くたびに腰を抜かしてたら、今ごろ二頭身だぜ」
「意味がわからねえよバカヤロー。黙って聞けねえのか」
「柄にもなく長い前置きするからでしょうが。いったい何があったんですか大事なへそくりでも盗まれましたかコラ。たぶん犯人はあんたの嫁」
「あに言ってやんでえこのファッキン蛮族め」
都暮らしが長いとはいえ、お互い東国の生まれである。もちろん頭目もバリバリの蛮族だ。二人で話せば、すぐに罵り合い同然の言葉遣いになる。
それだけに、頭目が一つの命令を伝えるのに、ここまで前置きを入れるのは異様なことだ。
これは余程のことがあったと見える。
< 15 / 17 >

この作品をシェア

pagetop