蛮暴武隷奴
「もう一度見せてくれないか」
「刀をでしょうか。それとも技をでしょうか。どちらもお断りです」
はっきりと口をきく娘だ。面白い。俺は足下に転がる竹をつかんで素早く引き寄せ、鉈で長さを整えてから腰の高さに据えた。見るべき程のものは全て戦場に在り。宮仕えの日々が、なぜか愛しく想い出された。
「なら、こちらから先に見せてやろう。自分で言うのもなんだが、俺の槍も普通じゃない」
「やめてください。人を呼びますよ」
「あいにくこの辺りには誰もいない」
「人をゴミと呼びますよ」
「それは荒みすぎだな」
俺はなんだか愉快になってきた。同時にすっと力が抜けた。よく見れば、目元口元にまだ幼さの残る顔立ちだ。俺の子であってもおかしくはない年頃に見える。この娘の最盛期は今ではない。俺は槍を放り出して、娘に尋ねた。
< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop