蛮暴武隷奴
「おまえ、何者だ。どこから来た」
「未来から来た宇宙人で超能力者です」
「平安京より年上なおじさんにも解る概念で喋ってくれないか」
「貴方こそ、初対面の相手に哲学的な質問をしないでください」
つくづくおかしな娘だった。しかし、頭は悪くなさそうだ。「未来」なんて言い出すところを見ると、仏典も少しは読んだな。気に入った。
「これからどこへ行くんだ」
「貴方の知らない所です」
「そこを曲げて、俺の家に来る気はないか?」
「どういう意味でしょうか」
「もちろん性的な含みはない。俺は見ての通り、もういい歳だ。今さら女もいらん歳だが、おまえみたいな子供と暮らせばさぞかし面白かろうなと思った。それだけだ」
「つまり、貴方がわたしの父になるということでしょうか」
「つまり、そういうことだ」
「ああ。そういう意味でしたら問題ありません」
娘は笑みを浮かべて言った。
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