ピュアー水浸しの恋ー
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高校二年の真夏。

「……え……」

耳を疑った。

目の前にいるYシャツを着くずした男子。
名前はなんて言ったんだったか。
チャラついた髪に見覚えがあった。
確か同じクラスの……

「なんて?」

信じがたくて聞き返した。

「付き合わない?」

ひどく軽い調子で、そいつは言ったものだから。
少しだけ苛ついて、

「付き合わない」

平坦な口調で突き返してやった。
なんでそうなるんだか。

まず、あたしあなたの名前も知りませんけど。

「ちぇー、やっぱダメかぁ」

予想してたとばかりに肩を竦められた。

「男に興味ねぇの?」

「男にも女にも興味ないの」

「なんで?」

「なんでも」

しつこい男子に苛ついていたら、遠くのほうから「杏奈(あんな)ー!」と呼ばれたので、その時ばかりは普段は煩わしさすら感じる声の主に内心感謝する。少しだけ。

「じゃ、友達、呼んでるから。」

しつこい男子をその場に残し、あたしは友人の元に向かった。
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