ピュアー水浸しの恋ー
「カナ、ナイスタイミングだったでしょ」

自分の事をカナと呼ぶ、この超短いスカートを翻して元気についてくる女は、西宮 郁奈(にしみや かな)で、あたしの友人。

大きくて人懐っこそうな目をこちらに向けてにっこりと笑った。

「うん、助かった。」

「でしょ〜?杏奈ってばあの調子じゃずっとくっ付いて来られそうだったもんね、あのフナムシくんに」

先ほどのしつこい男を、郁奈はフナムシ呼ばわりする。
郁奈は可愛い外見とは裏話に超毒舌。
それはぶりっことかでなく、誰に対してもそうなのだ。
しかも大抵、理不尽な悪口は言わない。
あたしは、たまに郁奈のテンションの高さには閉口するが、郁奈のこういうサバサバしたところが、一緒にいて楽だとも思う。

友人は、楽でいい。
お互い求めすぎないから。

溺れることだってない。


「そだ、杏奈もう帰る〜?」
「帰るけど……」
「カナ先生に呼び出し食らったんだったぁ」「なんでまた」
「遅刻しすぎって」
「わー、めんどー」
「朝起きれないから仕方ないってねぇ」
「待ってる?」
「いいよー、帰んなぁ」

バイバイッと元気に手を振って、郁奈は職員室に行った。
午後三時半。

スーパーに寄れるな……と考えながら、靴箱から靴を出した。
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