The god of death
「…もしかして分かってない?」
『え?』
「天使なんかじゃないよ」
『え、じゃあ』
「何て言えばいいかな…ああ、そうか」
一人で納得したように頷き、男の手が伸び私の目を覆った。
視界が塞がれ動揺するものの、拒めない。
『あのっ、何を…』
「…これなら分かるだろ」
『え………はっ!?』
離れていく熱に代わって目に入ってきた光の先に、ぼんやり見えた人影が次第にはっきりしてくる。
そこにいたハズの“天使”が、“死神”に変わっていた。
『な……何でアンタが!』
「どっちも俺なの。見て理解出来ない?」
『だって…えっ!?何で容姿違ったじゃない!声も…雰囲気だって!』
「雰囲気とか声とかはお前の思い込みのせいだろ。容姿はまあ…そのうちな」
『だって…踏切で私に言ってくれたの!命を無駄にするなって…』
「だから?」
『アンタが…死神がそんな事言う訳ない!』
「あのさ…いい加減固定概念捨てろよ」
『へ…』
「本当にめでたい奴だな?お前の為じゃない、俺の仕事が増えるからそう言ったんだ。それに…天使なんてお前が考えてるようなモンじゃねえ」
『う…』
そ、そっか…
確かにコイツ、前に仕事が増えるから健くんと私を助けたって言ってたな。
助けられた覚えない、って思ったけどまさか……あの人とコイツが同一人物だったなんて。
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