The god of death
「おい!大丈夫か!?」
サラリーマンが走り寄って気遣ってくれる。
けど、ほとんど聞き取る事すらままならなかった。
だけどそれは死から今一歩の所で逃れたという理由からじゃない。
「おい!」
『…あ、わ、私は大丈夫ですっ』
「良かった…あの坊主は」
男の子の事を思い出して慌てて目を凝らす。
踏切の反対側に転がっているそれに、命は留まっているのだろうか。
血の気が引いて動けない私をよそに、サラリーマンが走りよっていった。
息を飲む。
夏でもないのに汗が頬を伝った。
…しばらくして、向こう側でサラリーマンは笑みを浮かべ、大きく頷いた。
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