The god of death
安心したのか泣き出した男の子(健くんというらしい)が落ち着くのを待っているうちにすっかり雲は晴れ、真っ赤な空が広がっていた。
泣き止んだ健くんと私は、軽率な行動をサラリーマンにこっぴどく叱られる羽目になった。
…まぁ自業自得か。
『…でも何で飛び込んだりしたの?』
「んと…こいつが。丸まってた!」
「こいつだぁ?」
健くんが着ていた上着の中から出したのは…小さな黒猫。
『…助けようとして?』
「うん!」
『…はぁ。そっか』
「…坊主。悪い事したとは思わねえ。けど、危ない事はもうすんじゃねーぞ」
「…ごめんなさい」
『…ねえ、ところで男の人…健くんを助けてくれたお兄ちゃんはどこ言っちゃったの?』
私は一番気になっていた事を口にした。
飛び出した私を反対側へ突き飛ばした男。
その人は突然視界に入って来て言った。
「命を無駄にするな」
深い碧の目に銀髪の風変わりな姿が、目に焼き付いていた。
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