The god of death
腑に落ちない私だったけど、それ以上何も言う事は出来なかった。
本当に病院に連れて行かれてしまう。
「坊主、送ってく。姉ちゃんは一人で帰れるか?」
『大丈夫です(笑)』
「あ、僕も一人で帰れる…」
「暗くなって母ちゃんも心配してんだろ。大人しく言う事聞いとけ」
「ぅ…はい…」
この世の中にこんな大人も珍しい。
世の中、捨てたもんじゃないな…
健くん怖がってるみたいだけど(笑)
「…あ、こいつ怪我してんだ」
『え?』
見ると、黒猫の足には擦り傷があって血が滲んでいた。
「僕んち連れて行ってあげたいけど、お母さんが怒る…」
そう言って泣きそうな顔でおじさんを見上げる。
「お、俺んちは駄目だぞ!かぁちゃんがアレルギーなんだ」
あぁ、こんなに立派な彼も家では尻に敷かれているとみた。
『健くん、お姉ちゃんにこの子預けてくれる?』
「ほんとう?」
『うん。健くんが良ければ』
「お願いします!」
うちは一人暮らしだしペット可だし、うん、問題ないよね。
…そんな訳で黒猫をそっと抱え、二人と別れて帰路についた。
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