サクラナ
 吉野は気を取り直すと、

 鞄から封筒を取りだし
 素早く席をはなれ教室を出た。

 吉野は自分がいる校舎から
少し離れた体育館のトイレに向かった。

 もちろん
トイレで人知れず封筒の中身を見たかったからである。
 吉野は目的地に着くと中から鍵を掛け、
ふーと息をつき、
そっと封筒の裏に貼られた苺を象った小さなシールを剥がした。
 
 そして、
 封筒を開け三つ折にされた便箋と
数枚の写真が入っているのを確認すると、
便箋だけを取り出した。
 封筒と同じピンク地の便箋には金色の枠が印刷されていて、
 その枠の中の上の方に、
 小さく細い文字で、
 
 たった三行

 昨日は、ごめんなさい。
 
 良かったら、同封の写真、友達に渡してください。
 
 いらなかったら捨ててください。

 と書かれていた。

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