サクラナ
 「ところで、頼みがあるんだけど、
聞いてくれるか?」

 「なんだよ?おれにできることか?」

 「うん。樫の写真を貰ってきてほしいんだ。」

 「えっ。おれが?なんで?
樫なんて知らないと言ったじゃないか。」

 「おまえは知らなくてもいいんだよ。
彼女のところへ行って、
友達が写真を欲しがってると言って
写真を貰って来てくれればいいんだ。
 おれが頼むのは恥ずかしいんだ。
頼むよ。友達だろ。」

 「えーっ。嫌だな。」

 と言ったものの吉野はまんざらでもなかった。
 樫と話すきっかけができたからだ。

 「頼むよ。一生の御願い。」
 そう言って、池田は両手を合わせた。
 吉野はしばらく考えたあとこう言った。

 「しょうがないな。わかったよ。
明日彼女に頼んでみるよ。
断られても知らないよ。」

 「やったー。
じゃー今日はお礼にアイスでも奢るよ。」


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