サクラナ
 「ところで、
今、ひまなんだろ。

こんなとこでの立ち話しもなんだから、
どこか落ち着けるとこへ行って話しをしようよ」

 「うん、それじゃあ、

久し振りに××に行きたい。

 あたし、もう10年くらい御無沙汰してんの」


 彼女は気を許したのか、

さっきとは少し言葉使いが変わった。

 でも、

僕は昔の飾り気のない彼女の方が好きだったから

悪い気はしなかった。

 「じゃあ、そうしよう。」

 僕らは××駅で降りた。

 僕は彼女を東口に誘った。

 そのあたりは外観こそ昔とさほど違っていないが、

居並ぶ店は10年前とは様変わりしていた。

 彼女は、
 
 「へえ、こんな店が出来たの。」

と言って、

 あたりをきょろきょろ見回した。

僕は、

 「ずいぶん変わっただろ。ここは前は……。」

 と言ってあたりの変化を説明しながら、

彼女を近くの喫茶店に連れていった。


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