BLACK 〜それでも君に出会った〜
公園までの道のりを
ゆっくりと歩いた。

(キレイだなぁ‥。)

ピンクに染まった桜並木の下を
歩いていると、
なんだか無性に寂しくなって、
なんだかとても切なくなって、

目の前が霞んできた。

あの日から、
あたしは一度も涙を流した事は
なかった。

悲しい、なんて思わなかったから。

何かを感じるだけの
余裕がなかったから‥。

マスカラが取れないように、
あたしは滲んだ瞳で
朝日を見上げた。

‥あたしは、一人だ。

何故だか、そう思った。

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