幼馴染みが担任になったら【番外編】





ここは短大の調理教室。




そしてまさに今、調理実習の真っ最中なんだけども。





腑抜けになってるあたしはもう見てるだけでいいからと、みんなに端へと追いやられ、みかんの缶詰を作る作業を、ただぼんやり眺める。




さっきあたしが塩と砂糖を間違えたままだったら、きっと美奈の言うとおり、世界初みかんの塩漬け缶が出来上がっていたことだろう。




うん、そんなの食べたくない……




甘いシロップの匂いが漂う中、一人で想像して顔をしかめていると、




「コレ、楓の分。 缶に名前書いといてね」




美奈と同じように短大で仲良くなった志保が、まだ空っぽの缶を3つくれた。




そこにでっかく“MADE IN KAEDE”と書きながら、ふと外を見る。




そこには小さく可愛いうろこ雲が。





季節はもう夏の終わり?
秋ぐち?
とにかく9月最後の週。




耀太と付き合い始めて、もう半年。




早かったような……遅かったような……




やっぱり、あっという間だったかな……




そんなことを考えながら、再びペンを走らせた。






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