幼馴染みが担任になったら【番外編】
出来立てホヤホヤ、ずっしり重いみかん缶が3コも入ったバッグを持ち、足早に美奈と志保と3人で学食へ向かう。
「げっ…!!めっちゃ混んでるじゃん」
先頭を行く美奈が顔だけ覗かせて呻いた。
そりゃそうだよね……
もうお昼の時間が半分は過ぎてるもんね……
それにしても……
「お腹減ったね……」
いつも実習のあとは作った料理を食べるんだけども。
あいにく今日はみかん缶。
食べ頃は1ヶ月後だし、こんなのじゃお腹は膨らまない。
実習の片付けで出遅れたあたし達は、混雑を予想していたとはいえ、すっかり意気消沈してしまった。
「どうする?空くの待つ?それとも……あっち行く?」
短大の隣に立つ大学を指差す美奈。
「え〜 あっちまで行くのめんどくない?」
「あたしも……いいや」
同じようにみかん缶でいびつに膨らんだ美奈のバッグを見ながら、あたしも志保と同じように首を横に振る。
いくら隣と言えども、そこは遥か遠い大学の学食。
歩くとだいたい10分はかかる。
ただでさえ4限目の授業時間が迫っているのに、往復20分のロスは大きい。
「だよね……?誰か知ってる子居ないかなぁ……」
再び背伸びをして観葉植物の向こうを覗く美奈。
その言い草からして、最初っから大学側へ行く気はなかったらしい。
そんなあたし達の目の前に、突如として現れた人物が居た。
「場所ないんでしょ? あそこにおいでよ」
あたしの高校時代からの親友であり、今は同じ短大の英文科に通う瑞穂だった。
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