幼馴染みが担任になったら【番外編】
彼氏の合い鍵−−−
それはもちろん、耀太のアパートの部屋の鍵のこと。
しかも彼女のあたしが持っているのではなく、あたしの母親が管理しているモノだったり。
その鍵の存在を知ったのは、ずいぶん昔のことだったんだけれど。
『何かあった時のために、って預かっているのよ』
たまたま“耀太”と書かれたプレートの付いた鍵を見つけた時、もっともな母親の言葉に、あたしも納得した。
おばさん達の変わりに、なんだろうなって。
だからすっかり忘れていた。
その鍵の存在を。
3週間前に、
『楓に、合い鍵作って渡そうか?』
そう耀太に言われて、思い出したんだ。
慌てて家に帰って探したんだけど、どこにも見つからなくて。
耀太に確認してみたら、本人もウチの親が持ってるなんて知らなくて。
あたしは……絶望した。
思わず、シリンダーごと変えようって耀太に提案しちゃったけど、
『そんなことしたら、俺がお前の親から信用失くすだろ?』
却下された。
あの鍵を親に握られてる以上、あたしは耀太の部屋に泊まる、とういう選択肢を捨てざるを得なかった。
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