幼馴染みが担任になったら【番外編】
「……あ、ホントだ…」
明らかに、あたしの後ろの垣根の向こうから聞こえてくる若い女の子の声。
しかも“ヤエ”と呼ばれた子の声は、さっきの電話の張本人っぽい。
……ってことは、
さっきの電話の相手が“ミカ”……?
もしかして、耀太が会ったっていう“厄介な奴”って……“ミカ”って子?
あたしがそんな連想ゲームをしていると、耀太が小さく舌打ちする音が聞こえた。
「まだ用事が残ってたんだよ。お前らこそそろそろ帰れ。門限に間に合わなくなるぞ」
「あはははっ!高1にもなってそんな早い門限ないから。ね?ヤエ」
「う、うん…」
まだ座ったままのあたしの頭上で繰り広げられていく会話を聞いて、
なんとなくだけど、3人の関係が読み込めてきた。
あたしの後ろで、チャンスじゃない?と小声で言い合ってる2人は、きっと−−−
あたしの高校の後輩であり、耀太の生徒で。
そして−−−
「ね、ねぇ、ようちゃん。
今日がお誕生日ってホント?」
“ヤエ”って子は……
「……池上、よく知ってたな……」
「うん!ようちゃんのことなら何でも知ってるから。ふふふ……」
耀太のことが、好き、なんだ……
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