幼馴染みが担任になったら【番外編】
あたしの予想は、大方当たってると思う。
だって“ヤエ”って子の声は、さっきより数十倍可愛くなってるもん。
ううう……どうしよう……
こんなこと気づいちゃったら、ますます立ち上がりにくいじゃん……
幸い、垣根に座るあたしの姿は、向こうの2人には見えてないらしくて。
「こんなとこに居るってことは、誰かと待ち合わせ?」
「……まあな」
「誰?誰?」
“ミカ”っていう子の無邪気にはしゃいだ声がする。
きっと友達の恋を一生懸命盛り上げようとしてるんだろうな……
ふと耀太を見上げると、心底参ったって顔で頬をぽりぽり掻いていた。
やっぱり、あたしはこのまま身を潜めておいた方がいいよね……
学年的には顔を知られてる心配はないだろうけど、大好きな先生の彼女なんて見たくないだろうし……
そう思ってさらにあたしが身を縮こませると、
「ったく……、ヘンな噂回すなよ……」
そんな声とともに、いきなり自分の体がヒョイッと持ち上がったと思ったら、
………えっ…!?
「彼女と待ち合わせしてたの。
ってことで、お前らも気をつけて帰れよ」
そのままグッと腕を引き寄せられて、耀太の手があろうことかあたしの腰に添えられた。
……なっ…!? えっ……!?
パニクりながらも、あたしは少しだけ身をよじって頭を小さく下げた。
視界の端に、呆気に取られた様子の2人の姿を捉えながら。
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