幼馴染みが担任になったら【番外編】
……ちょっ…速いよ……
耀太の長い足に合わせて、あたしもせかせかと足を運んでいたけど、さすがにこの状態じゃ歩き難くて、
「……よ、耀太ぁ…」
しばらくしてあたしがすがるように見上げると、ん?なんて言いながら、やっと耀太は速度を緩めてくれた。
「あのさ……よかったの?」
「何が?」
「何が……って、そんなの言わなくたってわかるでしょーが!
さっきの子達、生徒でしょ?それに……」
“ヤエ”って子は、耀太のことが好きなんだよ……?
そう言いかけて、止めた。
あの子達は、あたしの知らない耀太を毎日学校で見てるんだって思ったら、胸がチリチリと痛んだから。
あたしは……嫉妬してるんだ、あの2人に。
あたしってば、ちっさ……
そんな自分がイヤで、先を続けるのを戸惑っていると、腰に添えられた手にぎゅっと力が加わったのがわかった。
「確かに、アイツらは俺が副担してるクラスの子だ」
「だったら…」
「いいから聞け。俺、前にも言ったよな?楓は堂々としてりゃいいって。俺は隠すつもりはないって」
「そうだけど……」
確かに言われた。
言われた時嬉しかったのも覚えてる。
だけど、だけど……
「今回はニュアンスが違うじゃない。耀太だって気づいてるんでしょ?あの子の気持ち……」
あれだけ態度が変わるんだもん。
気づかないわけない。
`