幼馴染みが担任になったら【番外編】





……ちょっ…速いよ……






耀太の長い足に合わせて、あたしもせかせかと足を運んでいたけど、さすがにこの状態じゃ歩き難くて、





「……よ、耀太ぁ…」





しばらくしてあたしがすがるように見上げると、ん?なんて言いながら、やっと耀太は速度を緩めてくれた。






「あのさ……よかったの?」



「何が?」



「何が……って、そんなの言わなくたってわかるでしょーが!
さっきの子達、生徒でしょ?それに……」





“ヤエ”って子は、耀太のことが好きなんだよ……?






そう言いかけて、止めた。





あの子達は、あたしの知らない耀太を毎日学校で見てるんだって思ったら、胸がチリチリと痛んだから。






あたしは……嫉妬してるんだ、あの2人に。






あたしってば、ちっさ……





そんな自分がイヤで、先を続けるのを戸惑っていると、腰に添えられた手にぎゅっと力が加わったのがわかった。






「確かに、アイツらは俺が副担してるクラスの子だ」



「だったら…」



「いいから聞け。俺、前にも言ったよな?楓は堂々としてりゃいいって。俺は隠すつもりはないって」



「そうだけど……」






確かに言われた。
言われた時嬉しかったのも覚えてる。






だけど、だけど……






「今回はニュアンスが違うじゃない。耀太だって気づいてるんでしょ?あの子の気持ち……」






あれだけ態度が変わるんだもん。
気づかないわけない。






`
< 54 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop