幼馴染みが担任になったら【番外編】
そしてあっという間に、あたしはそのまますっぽり背後から耀太に抱きしめられてしまった。
って、って、っていうか……!
「ココ、街中!ひ、人がいっぱい見てる……!」
少し離れた場所からこっちをジロジロ見ている視線に気づいて、あたしが慌てて身をよじると、
「いいじゃん、見せ付けてやれば……」
あたしのお腹の前で組んだ手にさらに力を加えながら、とんだバカップル発言をする耀太。
「なっ……!?」
「だって楓、すっげぇ不安そうな顔してたもん」
「そそそっ、それとこれとは…」
「違うくない。 不安にさせたのは俺だろ?
それを理由に楓が離れていくとか、絶対ヤだ……」
………ヤだ……って、耀太ってばホントに子供みたい…
こんな状況だというのに、切なげに呟く耀太の言葉に、キュンと音を立ててしまうあたしの胸。
「……離れるわけ、ないじゃん」
気づいたら、あたしは耀太の腕をぎゅっと抱きしめ返していた。
耀太、全然わかってないよ。
あたしに、この手を離す勇気なんてないのに。
例え耀太に『幼馴染みに戻ろう』って言われても、あたしにはこの気持ちを失くすことなんて、もう不可能なんだよ……?
「さっきさ……」
「ん…?」
「俺の立場とか、くだらない心配しただろ……」
「全然くだらなくない。でも……した」
こうして背中に耀太の温もりを感じていると、普段は口に出来なかったこともスラスラ出てくるから、不思議……
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