幼馴染みが担任になったら【番外編】
それからしばらくそのままでいたあたし達だけど、
「……ありがとな…」
やっと聞き取れるほどの小さな小さな声とともに、耀太の温もりが背中からフッと消えた。
代わりに、左手に大きくて頼もしい力が新たに加わる。
「プレゼント、何がいい?」
そんな耀太を見上げながら、あえてさっきの言葉には触れずあたしが尋ねると、耀太は、うう〜んと小さい呻き声をあげた。
「ほら、早く決めないと、時間なくなっちゃうよ?」
なんだか照れ臭くて、わざと急かすあたし。
しばらく本気で悩んでいた耀太だけど、やがてニヤリと意地悪く口端を上げてあたしを覗き込んできた。
「俺の欲しい物は……か・え・で」
………なっ!?!
その瞬間、ボンっと音がしそうなくらい、あたしの顔は真っ赤に染まった。
「……あれ…? 怒んねぇの……?」
拍子抜けしたような声が頭上から聞こえるところをみると、どうやら耀太は冗談で言ったらしい。
でもあたしはそうは受け取れなかった。
だってまさに、今日、自分を“あげる”つもりなんだもん。
「楓? どした?」
「………」
「おーい、楓?」
赤い顔で俯くあたしの頭を、耀太の手が優しくポンポン叩く。
「………よ…」
「ん?」
「だから……………よ」
「……んん?」
ゴニョゴニョと言葉を紡ぐあたしの口元に、耀太がぐいぐい自分の耳を寄せてくる。
その耳に向かって、あたしはさっきよりも音量を上げて囁いた。
「……あ、あとで……あげるつもりだよ…」
きゃぁぁあああ///
言っちゃったーーー!!!
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