幼馴染みが担任になったら【番外編】
そんな花音ちゃんは、どうしていつも騒がしい瑞穂とつるんでるの?って言いたくなるぐらいホントに大人しい。
今だって、それぞれ好きなことを言い合っているあたし達の話を、ふふふっ…なんて可愛い声で笑って聞いているだけだし。
お家の話は聞いたことないけど、間違いなくどこぞのご令嬢だと思う。
だけど、だけど、『殿方なんて』とか言い出しても全く違和感ない花音ちゃんに、あたし達はこの夏、軽い脳震とうを起こすほどの衝撃を受けたんだ。
あれは…夏休み、このメンバーで山のコテージに泊まりに行った時の話なんだけど−−−-……
「ねぇねぇ、初体験っていつ?」
夜も更けた頃、興味津々な顔した美奈が切り出した。
美奈はこのひと月前に、春から遠距離になった彼氏と別れたばかりで。
そんな美奈を元気付けたくて計画したお泊りだったのに、当の美奈がそんな話題を振ってくるから、誰もが戸惑った表情を浮かべた。
「あたしはね、ちょうど1年前」
そんな空気を読み取ったのか、真っ先に暴露ったのは美奈だった。
「志保は?」
「あたし? あたしは……15かなぁ」
聞かれるままに、隣の志保が言う。
さすが男性経験豊富な“小悪魔”志保……
ずいぶんお早い初体験で。
そして視線は、自然にその隣に座る瑞穂へ。
「あたしは、16……
あんまり思い出したくない思い出だけど……」
そう言って頭を掻きつつ苦笑する瑞穂。
たしかに、彼氏のマザコンが発覚した初体験なんて、あんまり思い出したくはないよね。
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