幼馴染みが担任になったら【番外編】
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ジャズ風の音楽が流れる中、生いっぱーい!と耀太が頼んだビールを厨房にオーダーする店員さんの声がする。
ここは最近人気の洋風居酒屋で、あたしが耀太と一緒に来てみたかった店でもあった。
「ねぇ、ここって、来たことある?」
おしぼりで拭きながら何気に気になっていたことをあたしが尋ねると、ポケットからケータイを取り出した耀太が顔を上げた。
「んー… どうだったかな……?」
「来たことある店ぐらい、覚えてないの?」
「だって似たような店、いっぱいあるしよ……。大学って何かと飲み会になるから、いちいち覚えてないかも」
なにそれ……
せっかく人が厳選に厳選を重ねて選んだ店なのに……
ヘラヘラ笑う耀太にムカつきつつも、あたしは耀太の傍らに置かれた紙袋を指差した。
「それ、もっかい着けて?」
「ここで?」
「うん!着けて着けて!」
あたしのゴリ押しに負けたのか、仕方ねぇなぁ…と紙袋の中からケースを取り出した耀太は、一度下を向いて、また顔を上げた。
その顔には、さっき買ったばかりのサングラスがかけられている。
「………どう?」
「うん!格好いい!似合う!」
「ははっ、調子よすぎ」
さらに格好良さを増した耀太が、手を叩いて喜ぶあたしに苦笑する。
「ありがとな…、今度のクリスマスは楓の欲しい物ぜ〜んぶ買ってやるからな」
不意にサングラスを外しながら言う耀太の目が、優しくあたしを見つめるてくるからなんだか恥ずかしくて。
「うん!じゃあ、今のうちからいっぱいリストアップしとくね」
と、あたしがニタッと笑うと、「いや、それは早過ぎだろ……」とマジで焦った顔で返されたから、思わず噴き出してしまった。
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