幼馴染みが担任になったら【番外編】
ゴクリ−−−
自分の喉が、BGMに負けないくらいの音で鳴る。
向かいの耀太は、あたしが姿勢を正したのを見て、あぐらを組み直した。
正直、耀太がどういう反応を示すのかが恐い。
女の方から“ラブホ行きたい”って言われて、ドン引きするんじゃないかって。
しかもあたし達の場合、“初めて”なわけだし。
俯いたままそんなことをグルグル考えていると、
「………で、どこに?」
優しく諭すような声がして、あたしは下唇をぎゅっと噛みしめたまま、ゆっくり顔を上げた。
「ホントはね……耀太の家に泊まらせてもらおうかなって思ってたんだけど、合鍵が危険人物の手にあるし……」
「ふっ……、自分の母親をそんな風に言うな……って言いたいところだけど、確かにそれは一理ある」
ぶぶっと吹き出した耀太は、もう一度真面目な顔をした。
「だからね、瑞穂が勧めてくれた場所にしようかと……」
「白本が?」
「うん…… 瑞穂が……」
瑞穂のせいにしてゴメン!と心の中で謝りつつ、あたしは大きく首を縦に振った。
「どこ?」
「えぇっとぉ、あっち?」
「あっち? ってどこ?」
曖昧に答えるあたしを、耀太は眉間にシワを寄せて見つめてくる。
まいったなぁ…… やっぱり面と向かってラブホだとは言いにくいよ……
「こっから遠いの?」
「ううん、歩いて10分くらい」
そうあたしが答えると、指を差していた方角を見ていた耀太の顔が、みるみる強張っていくのがわかった。
「……ま、まさか…」
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