幼馴染みが担任になったら【番外編】
どうやらあたしの曖昧な説明だけで、そこがどこだかを悟ったらしい。
さすが先生!
………って、ふざけてる場合じゃないか。
ゴクリ−−−
今度は耀太の喉が鳴った。
「………マジで?」
「うん、大マジで」
「そっか……、そうきたか……」
やっと言いたいことが伝わって安心してるあたしの前で、ブツブツ言いながら俯いた耀太は、ガシガシ頭を掻きむしっている。
これって、やっぱり引かれてんのかな……
あんまり耀太が顔を上げないから、だんだん不安になってきた。
どうしよう……
嫌われた?呆れられた?
「………いいのか?」
いつの間にかカラの箸袋を意味なく触っていたあたしの耳に、不安混じりの声が届く。
「ホントに、そこでいいのか?」
もう一度問いかけられて顔を上げると、耳まで真っ赤になった耀太が、真剣な顔であたしを見ていた。
「……うん。耀太がいいなら…」
「俺は別にどこでも……って、あっ!今のナシな?
……っていうか、そういうのって気になんないのか?
言うなりゃ、思い出の場所になるんじゃねぇの?
楓は、無理してんじゃないのか?」
言いにくそうに、だけど真剣な顔で尋ねてくる耀太に、あたしの胸がジーンと熱くなった。
「耀太となら、どこでもいい思い出になるから……」
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