幼馴染みが担任になったら【番外編】




「ありがとうございましたー!」と、威勢のいい店員さんに見送られ、あたしと耀太は店を出た。





「ゴメンね?誕生日なのにオゴらせちゃって」



「あ?ああ、気にすんなって……」





結局耀太は、あたしが払うと言い張るのを制して、清算を済ませた。





「俺は働いてんだし、楓にオゴってもらうのは社会人になってからにするよ」



「わかった、まっかせといて!
ラーメンだろうと、ハンバーガーだろうと、回転すしだろうと……」



「ぶはっ… 安くすむのばっか……」



「……やっと笑ったね?」





あたしがそう言ってニッコリ笑って見上げると、耀太はキョトンとした。





「だってさっきから笑わなかったじゃん?」





あの話をしてからというもの、耀太はどこか上の空で、実はずっとそれが気になっていた。





「……そう、だっけ…?」



「そうだよ。すっごい不安になったんだから」





やっぱり、あたしから誘うなんて、ムチャ振りだったんじゃないかって……





でもキョトンとなったところを見ると、耀太本人も自分の変化に気づいてなかったみたいでちょっと安心した。






「なんか……悪いな。……ちょっと考え事してたかも」



「何を?」



「楓に言われたことが嬉しくて、でも、心の中はなんか複雑でさ……」



「複雑……?」



「俺でホントにいいのかなって思って。
5歳も上だし、教師って言っても私立だから公務員でもないし」



「なに今さら言ってんの?
そんなこと言ったら、あたしの方がいいのかなって思うよ。
5歳も下だし、まだ学生だし、元生徒だし、ガキっぽいし、あとは…」



「わかった、わかった。もうそれ以上言うな。今すぐ抱きしめたくなるから!」





そう言いながらも、あたしの唇を指先でちょんと押さえた耀太は、あたしの肩に腕を回してそのままギュウと抱きしめた。





コラコラ……言ってることとやってることが逆だよ(笑)







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