幼馴染みが担任になったら【番外編】
今なら、人目も気にせずイチャつくバカップルの気持ちがわかる気がする。
俗に言う“恋人繋ぎ”で繋がれた自分の左手を見て、さっきからニマニマと笑いが止まらないあたし。
そんなあたしを、通りすがりの酔っ払いがじーっと見てこようが、女の子2人組に鼻で笑われようが(多分、妬まれてるだけだけど……なんちゃって)、
全然気になりませーーん!って感じ。
人は言いづらいことを相手に伝えた途端、こうも気が楽になるもんかと、自分に感心する。
そりゃもちろん、今からする?ヤる?ことを思い浮かべると緊張するし、怖いって気持ちも多少ある。
だけどね、隣を歩く人に全てを委ねれば、あたしには明るい未来しか待ってないって信じられるから大丈夫。
なんて、あたしが頭の中でバカップル思考を廻らせていると、
「最終確認」とぽつりと呟いた耀太が、足を止めてあたしを覗き込んできた。
いつの間にかそこは、つい先日通ったばかりの例の場所へと続く曲がり角で。
「ターニングポイントです。
行きますか?帰りますか?」
耀太が神妙な顔付きで尋ねてくるから、
なんだかクイズ番組みたいで笑えたけど、
「行きます」
あたしも真面目な顔を作り直して答えた。
「では……」
体の向きをグイッと変えた耀太の先に、この前よりもさらにド派手に感じるネオン街が見える。
ゴクリ−−−
いよいよね……
ゆっくり深呼吸をして、あたしも一歩を踏み出した。
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